中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ

計画研究A03:考古関連情報基盤の整備

多層的な地域間ネットワークの復元から地域間関係を探る

渡部 展也  
(中部大学・准教授)  

 ウエスタンインパクトの影響を受け、新石器時代晩期に中国各地に勃興した諸地方文明が黄河中流域に収斂されていく過程において、西方地域と中原地域をつなぐプロト・シルクロード、そして中国内部の地域間ネットワークという、物理的なアクセシビリティが果たした役割を過小評価することはできません。本計画班では、前3千年紀後半から二里頭文化成立期にかけての威信材を通した交流の背景と具体的様相の解明を目指します。そのために、文献史学、民族考古学、歴史言語学、地理情報科学など、多分野の方法論と情報を融合しながらモノの拡散に関連する諸情報を空間的に見える化し、地域間関係を探求していきます。
 具体的には、大陸レベル、地域間関係レベル、拠点的集落と周辺レベルの3つの空間スケールにおいて、地理・歴史的な合理性にもとづく交流ルートの復元や地域間の交流過程を分析します。大陸レベルでは、広く西方世界と中国的世界との接続ルートを、地域間関係レベルでは、中原地域と山東半島、山東半島と江淮地域などの地域を取り上げ、地域間をつなぐネットワークと関係について多角的に検討します。また、地域間関係と連動して起こると考えられる各地域内の変化については、拠点的集落と周辺レベルにおいて、土地利用やセトルメントパターンから把握を試みます。このスケールではA01班とも協働して、各地域に流入した威信材の再配布や地域性の維持や変質のメカニズムについてモノ(威信材、土器等)の側面からも、理解を深めていく予定です。
 なお、作成したデータは他研究計画班の成果と共にWebGISにより構築した領域データベースに格納し、インタラクティブな地図情報として領域メンバー間で共有を可能とします。以上により、二里頭文化という文化的ハイブリディティの中心地の形成過程を検証するための、様々なスケールの空間構造とその変化の「見える化」を実現します。

研究組織

  氏名 所属
研究代表者 渡部展也 中部大学准教授
研究分担者 小林正史 北陸学院大学教授
大川裕子 上智大学准教授
村松弘一 淑徳大学教授
菊澤律子 国立民族学博物館教授
海外研究協力者 路国権 山東大学准教授
鄒 怡 復旦大学准教授
李令福 陝西師範大学教授